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LET ME GO









「・・・・・・見事な切り口だったらしいぞ。」

「・・・・・・見事、とは?」

ツォンは包帯だらけの自分の姿を視線だけで見下ろした。

「致命傷は一つもない。動脈の一本も傷付けていない。・・・・・・重要な臓器も全て避けて、まるで外科医が切開したように綺麗な傷口だったらしい。神羅の医者が舌を巻いていた。だから・・・・・綺麗に縫合できたし回復も早いそうだ。」

「・・・・・・そうですか。」

傷口がズキズキする。
こうやっていつまでも残る痛みは、多分これから一生自分の中で疼き続けるのだろう、とツォンは思った。

「・・・・・嬉しくなさそうだな。」

失った物が余りにも大き過ぎて、今は自分の命がある事を感謝する事すらできない。
それでもツォンは口を開いた。

「セフィロスは・・・・私が助かると判っていたんでしょうね。」

「まあ、そうだろう。・・・・・・大掛かりな嫌味だな。」

「・・・・・・そうですね。」

下を向いてツォンがくつくつと笑った。

「何がおかしい?」

「社長も・・・・・・人の気持ちが随分とお判りになるようになって来た。」

この酷薄そうな男も、それでも自分が生きている事を喜んでくれているようだ、とツォンは思った。

「・・・・・・お前等とは長い付き合いだったしな。」

お前等…と口にする。



そのお前達は、もう俺一人しか残っていないんです。




それは彼にも判っているのだろう、とツォンは思う。
ルーファウスの口調が酷く苦々しい。






「・・・・・・エアリスは?」


漸く口にしたツォンに、何?というようにルーファウスが首を傾げた。

「・・・・・・苦しんだんでしょうか。」







オレのように。

痛みと苦しみの中で死んで行く自分を思ったのだろうか。







「いや。多分何の痛みも感じなかっただろう。」

そうですか、とツォンは口の中だけで呟いた。

「即死だった。致命傷を一突きだ。・・・・・・お前に対する仕打ちとは正反対だな。お前はさぞかし・・・・・・痛かったんだろう?」

何だか面白そうにルーファウスが言った。

「・・・・・・不器用な男でしたけどね。剣の扱いは・・・天下一品でしたから。」

「不器用な男だったな。最期まで。連れて行ったって・・・・・・・・・」

そう言った後に、ルーファウスの声がふいにかすれて途切れた。




「・・・・・・同じ場所に還れるなどと思っていなかったでしょうにね。」









ルーファウスの言葉をツォンが継いだ。



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