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ずっと一緒にいたかった。もっと一緒にいたかった。(クラエア)









初めてクラウドに会った時。
その中に懐かしい面影が見えてびっくりした。

・・・・・・・この人、ザックスに似てる。

最初に思ったのはそれ。
雰囲気とか、仕草とか。
ソルジャーだって知った時にもびっくりした。

だけど、ザックスに似てるんじゃなくて、ザックスの真似なんだってすぐに判った。

だってヘタクソなんだもん。


ザックスは、女の子相手にそんなに不器用な真似なんてしなかったよ。
ザックスは、そんなふうに自分の世界に閉じこもらないで、回りのみんなをいつも楽しませていたよ。

本当のあなたと、真似ているザックスとの間の距離が痛々しくて見ていたくないと思った時もあった。
どうしてザックスの人格を纏わなきゃならないのか、って。そうなってしまったあなたの過去を想像すると胸が痛む時もあった。
あなたはそんなに本当の自分が嫌いなのかと、あなたがなりたいと思っている人たちはそんなに幸せだったのかと、何度も聞きたいと思っていた。








「ねえ、どうして私を誘ったの?」

綺麗な花が咲いている場所を見つけたから、とクラウドに誘われた。
綺麗な花を見るのは誰だって嬉しい。
ティファだってユフィだって。
ナナキだって、それにバレットだって花を見たら嬉しいと思う。
だけど、私一人を誘ったクラウドに少し意地悪をしたくて聞いてみる。

「あんたが・・・・・・・・ここには花がない、って。言ってたから。」

ここ、って私が言ったのはもうずっと前。
まだ私達がミッドガルにいた頃。

「だってここはまだ随分花が咲いているじゃない。」

そう言って笑うと、何だか傷ついたようにあなたはそっぽを向いてしまった。

夕日に向かって座っていつまでも動かないで太陽が傾く様を見ているあなたは、金色の髪がぽよぽよと光ってまるでプレーリードッグみたい。

「何だ?」

思わず噴き出したら不機嫌そうにクラウドが振り向いた。

「何でも。・・・・・・・・ねえ、クラウド。プレーリードッグ、見た事ある?」

何の事か判らない、とクラウドが眉を寄せた。

「夕方になるとね、みんなで並んで夕日を見るんだよ。じっと動かないままでね。物凄く可愛いんだから。」

その可愛いプレーリードッグと自分が比較されているらしいと気付いたクラウドが更に不機嫌そうな表情をする。








クラウドが私を気に掛けてくれる理由を私は知っている。
それは、クラウドが偽りの人格として身に纏った記憶が求める残像。

クラウドが考えるザックスだったら、きっと私を好きになるって思ってるんだね。
それは的外れっていうわけでもないけど。
あなたは今ザックスだから、だから私が気になるんでしょう。





ねえクラウド、あなたを見ていると今はもういない人たちを思い出して、私は少し切ない。






「ミッドガルもいつか花で一杯になるといいね。みんなが花に囲まれて暮らせるといいね。」

そう言って微笑んでみる。

「関係ないね。」

ほら。
言うと思った。
そう言って笑えばきっとあなたはヘソ曲げちゃうかもしれないから言わないけど。
だけどそれはセフィロスの口癖だったんだよ。
あなたが気付いていないかもしれない、あなたの中のもう一つの人格。
あなたはそんなセフィロスしか知らなかったんでしょう。
あの人の態度だけを見て冷たい人だと思って、口癖がうつっただけかもしれない。


本当は誰よりも傷つき易くて人の痛みが判る人だったあの人はね、全てに関わってしまうには脆すぎたの。
一度関わってしまったら、共に地獄へ堕ちてしまう人だったから。
相手が堕ちて行くならどこまででも付き合ってしまう人だったから、いつの頃からかいくつかの物を切り捨てるようになってしまった。

「オレには関係がないから。」

そう言う時のあの人はいつも少し寂しそうだった。
ひょっとしたら、うんと些細な事にとことん付き合って、その人と共にどこかへ行ってしまいたいんじゃないかって思う事が何度もあった。

だからあの人は冷たい、っていつも言われてた。
時々うっかり本当の優しさの片鱗を見せてしまうと、あんまり周囲にびっくりされるから、照れて、却って愛想がなくなったりね。


ねえクラウド。
あなたが『関係ないね』って言う度に、私はいつもほんの少し懐かしくて、ほんの少し涙が出た。





クラウド、あなたはとても弱い人だから。
だから自分を忘れて、今は誰か他の人を纏っているのかもしれない。

だけど、柔らかい草が風になぎ倒されてもまたしなやかに立ち上がるように、あなたは決して折れてしまわずに、いつか自分を取り戻すんだろうね。

その時に一緒にいたかった。

ずっと一緒にいたかった。

自分を取り戻したあなたの中に、もう私を求める部分は残っていないかもしれないけれど。
ずっと大事だった人を今度こそ幸せにしてあげたいと思うかもしれないけれど。

だけど、私、本当のあなたに会いたい。




もっと、一緒にいたかった。




「ねえ、クラウド。」

「ん?」





本当のあなたも、私の事、少しは好きになってくれたかな。



確かめる時間は、もうないかもしれないけど。




「・・・・・・・何でもない。」




そう言って私は笑った。









       「愛する君にさよなら10のお題」 creap(閉鎖)  真朝さまより

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