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レッスン   (セフィロス)




セフィロスの部屋に毎晩違う女が入って行くとか、出て来たとか、そんな噂を耳にした。
どうも来る者拒まずと言った具合らしくて、女性側が協定を発動させているらしい。そのおかげでドアの前で女同士が鉢合わせ・・・などという修羅場もなく毎晩規則正しい訪問が続いているとか。
ちょうど昼食時に食堂でセフィロスを見た俺は近寄って肩を一つ叩いた。

「最近女が順番待ちしているんだって?」

セフィロスの前に置かれたトレイの上には何だか鳥のエサのような食べ物が乗っていた。

「何だ?」

「毎晩綺麗なお姉さんがお前の部屋へ来るらしいじゃないか。」

「ああ、その事か。」

何でもないことのようにセフィロスは言った。

「よく眠れるんだ。それに、腹筋のトレーニングにもなるし。」

寝る前は歯を磨くんだ。虫歯にならないから。

俺は、セフィロスがそう言ったのかと思った。それからセフィロスがどう腹筋を使っているのかを想像してちょっと笑ってしまったけれど、そのすぐ後に女抱きながら腹筋の事を考えるのも如何な物か、と思い直した。

「お前、それ問題あるぞ。いや、頼むから他の誰にもそんな事は言うな。特に女には絶対言うな。命がいくつあっても足りない。」

「そうか?別に彼女達も気にしていない。いつもさっさと身支度をして出て行くのは相手のほうなんだ。きっと眠いんだろう。」

セフィロスはつまらなそうにグリーンピースをフォークの背で潰していた。

それはお前が「出て行け」って言っているからだ全身で言っているからだ邪魔だって態度に出ているからだ!

と思ったけれど、俺はそれを口にはしなかった。
セフィロスから鬱陶しそうに見られたら普通の女なら耐えられないだろう。そうしてきっと再びドアをノックする事もないのだろう。
俺の頭の中に何故か急に、どんなにセフィロスに素っ気無く対応されても気にもかけない少女の姿が浮かんだ。




「・・・・・・・だからいつも相手が違うんだな。」

俺はため息をついた。


「ああ、そう言われてみれば・・・・・・・いつも違う女性だったような気がする。」

頭痛がして来た。

セフィロスは俺が言っている事が全然理解出来ないような素振りで黙々と皿に向かった。相変わらずフォークで皿をかき混ぜてつつくだけのような食事の仕方だった。 混ぜていれば皿の中身が減っていくとでも思っているのだろうか。

「女抱いてよく眠れても食欲は湧かないのか?」

「食欲・・・・・・・・?」

セフィロスは茫洋とした目で俺を見た。

「いや・・・・・・だからさ、運動すると腹が減るだろう?」

「腹が減る・・・・・・・。」

その感覚は良く判らない、とセフィロスが言った。




だからどうしてセフィロスはいつも、見ている方が傷つくような物言いをするのだろう。


「オレは、ほんの少しのエネルギー補給で十分に身体機能を維持していける体らしい。・・・・・・・・と思う。どんなに過酷なミッションで食べる物がなくても困った事がない。多分そんなふうに出来ているんだ。・・・・・・細胞が。」



細胞が。




からんと皿の上に投げ出したフォークが音を立てて転がった。
俺は、神羅ビルの屋上でバレーでもしないかとバカみたいな事を言って、セフィロスに思い切り嫌そうな表情で見られた。

「仕事をしろ、ツォン。」






セフィロスに出て行けと無言で背中を向けられた女の気持ちがほんの少しだけ判ったような気がした。





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